2007-03-17
先日やっと「24シーズン4」TV放映が完結。
LOSTシーズン1とプリズンブレイク・シーズン1も終わりが見えました。
ちっとは余裕が出るでしょうか。
でも3月〜4月はそれでも映画が多い。
今回は「パフューム ある人殺しの物語」。
<物語>
18世紀のパリ。悪臭のきつい魚市場で産み捨てられた
孤児グルヌイユは、臭覚が驚異的に発達していた。
さらに彼は一切の体臭を持たないことに気づく。
出生と能力故に孤独な彼はあらゆる香に魅せられ、
その香の全てを手に入れたいと願う。
やがて香水調香師となった彼は貪欲に香の保存を求め、
狂気の領域へと踏み込んでいく。
「香り」を映像で伝えることに挑んだ実験的意欲作。
まずいきなり暗闇から浮かび上がる鼻は本作のテーマの象徴。
最初はこれでもかと汚物を見せ、悪臭のイメージを想像させます。
それが反動の作用を生み、香水に調合に魅せられてからの
華やかな香のイメージが強調されます。
しかし、映像で表すというよりはやはり鑑賞者の想像力に
依存するところが大きいと思います。
誰でも感じられるほどのクセの強い映像ではありますが。
究極の香水を求めた結果、その原料は赤毛の少女達の体臭。
それ故にグルヌイユは何人もの少女達の命を奪います。
否応にもエロティックな展開を期待すると、
それほど官能的でもないので拍子抜けしますが、
彼がそんなものを求めていないことは一目瞭然。
本作にエロスを求めることは間違いです。
純粋に香の原料を求めただけであり、
仮に究極の香が人間以外ものであればその探求に邁進したでしょう。
善悪の概念が欠落していたか、またはあっても欲望が凌駕したか。
彼にとって人間の死は問題ではありませんでした。
子供が自分の欲しいものを最優先に手に入れる時の
ある意味で無垢な感覚と同質だと思います。
手に入れた究極の香水によりグルヌイユは人心を掴みかけますが、
死刑広場で気づくのは、人々は彼ではなく香を求めていたこと。
宙に舞う香を群衆が追い、彼から視線が離れるとき再び気づきます。
自分自身はやはり孤独であることに。
この時彼は究極の香水を手に入れています。
求める至上の物を手に入れた次に訪れるものは、
人生の目的を失ったかのような虚脱感。
もう彼には香を追求する意味もなく、本当に何もないわけです。
だからこそラストで彼は人と自分をもう一度試したのではないでしょうか。
自分自身に究極の香水をふりかけ、
二者が一体となり人々は何を求めるかを。
かなりキツイ展開と映像ゆえにあまり何度も見たい映画ではありませんが、
ベルリンフィルの演奏による壮麗なBGMによりかなり救われます。
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