いつまでも輝け
2007-11-03


禺画像]
どうにか新しい職場の本格始動も軌道に乗り始め、
時間にも気持ちにも余裕が出てきました。
溜っていた未鑑賞VHSやDVDを順調に消化する日々です。

そして11月の公開予定映画も決定し、
今後の劇場映画鑑賞予定を作成したところ、
いまのところ今年の、鑑賞予定映画を全て観ると計算すると、
現時点で167本になることが判明。

しかも12月公開映画はまだ未定が多いので、
あとプラス10本は増える可能性は大。
すると180本越えが現実味を帯びてきます。
もし達成すれば2日に一作の割合で映画館に通っている計算。

仙台市の映画館から感謝サービスでもしてくれないかしら。

そんなわけで今日は現在公開中「ヴィーナス」。
映画界の至宝ピーター・オゥール主演の
ユーモラスなヒューマンドラマ。

<物語>
若い頃はプレイボーイだった俳優のモーリスも
老いとともに俳優業も斜陽になり、仲間の老人達とともに
いきつけの店で愚痴や冗談を言い合う日々。
身体のあちこちにもガタがきている、いわば普通のお年寄。
そんなとき、友人のイアンの姪ジェシーが職探しに転がりこんできた。
モデル志望だが今時の若者らしくお気楽・わがままな彼女に
イアンは悲鳴をあげるが、モーリスは彼女に惹かれはじめる。


「男っていくつになっても・・・」とやれやれしょうがない人たち、
というようなコピーが書かれていますが、作品を観ている限り
モーリスは単なるプレイボーイではないように思えます。

女性に対しては崇拝に似たような思いを抱き、
女の人をどうこうしようというよりも「男は女に敵わない」と悟った上で
その神性に近づこうとしているように思えます。

もちろん若い頃はもっと節操が無かったかもしれませんし、
そんな日々を駆け抜けた末に悟りに達したかもしれません。
いづれにせよ、今のモーリスは少なくとも
エロジジイと罵倒される筋合いはないと思います。

ジェシーとのかけあいを観ていても嫌らしさを感じることはありません。
熟練のイギリス紳士の巧みなユーモア交えた
シャレた大人の語らいのようです。
遊び、と言っては失礼に聞こえるかもしれませんが、
それを互いに了解しあう古き社交界の雰囲気が感じられます。

そんな大人の恋のかけひきというのが
映画の中で輝いていた時代がかつてありました。
ピーター・オトゥールが登場したのはその後期だったと思いますが、
銀幕のスター達の残り香のような熟成された演技を見せられたと思います。

これはオトゥールに捧げる作品として撮られたということですが、
例えば年齢を重ねてもうら若き女性との共演が絵になる紳士
マイケル・ケインなどを配役しても失敗はしないにしろ、
全く違う雰囲気になったことでしょう。
一人の俳優と作品が一体となる存在は確かにあります。

海辺で眠りにつくシーンはただひたすらに美しい。
そういえば曇天の多いイギリスの風景から
あのシーンは光も一気に明るくなります。
「海で死ぬなんて最高じゃない?」
まさにその通り。天から与えられた贈り物か自ら掴んだ宝か。
その想いがジェシーに受け継がれ成長させるのでは、
と思わせるラストがいい。
モーリスとオトゥールの人生賛歌として心染入る作品です。
[映画・ドラマ]

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