修復と保存 〜羅生門/デジタル完全版
2009-04-24


収録されていた音であり、風や水の音のようにも聞こえるため、
敢えてそのまま残したとのことでした。

鮮明な映像は話の理解にも、ある程度助けになるかと思います。
「羅生門」は映像だけではなく、構成と物語にも魅力があります。
完全版も、劣化版も人間の業と真相は闇の中という物語は同じ。
鮮明な映像は光るナイフで鋭く抉り出し、
ぼやけた映像は深い霧の中へと誘い惑わせる。
つまり、どちらも愛すべきものであり、
例えば、若かろうと老いようと心繋ぐ人は大きな存在である、
ということと同じなのではないでしょうか。


「羅生門」の構成手法は特にミステリー映画において
近年の作品にも活用されるほど有名なので、
今から見ておいて損は無い作品です。
また、相手をどこまで信じられるか、という
製作当時の戦後社会、芥川が原作を書いた当時、
そして現在また大きく圧し掛かる、未来永劫の問でもあります。

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