沈む太陽を引き上げるのか
2010-12-04


キネマ旬報連載の鬼塚大輔先生のコラムによると、
毎回毎回興味津々になる本をご紹介くださいますが、
(惜しむらくはほとんどが原書、つまり日本語ではない。)
マイケル・アダムスなる映画雑誌編集と映画批評を生業としている方が、

「Showgirls, Teen Wolves and Astro Zombies: AFilm Critic's Year-Long
Quest to Find The Worst Movie Ever Made」


なる本を出版したそうで、その書名の訳は

「ショーガール、ティーン、オオカミ、宇宙、ゾンビ・・・
これまでに製作された最悪の映画を見つけるための映画批評家の一年間の探索」


と、だいたいそんな感じになり、なんだか否応無しに口の中に
アドレナリンの味が充満してくるような気がしませんか。しませんね。普通。
しかし、してしまう人達がいるから世の中面白いというか始末が悪い。
というかそれは僕。


Showgirls, Teen Wolves, and Astro Zombies
(禺画像])

先生によるとこの本は、数百本の"ヒドイ"と言われた作品を一年間かけて鑑賞し、
系統的徹底的な調査を経た上で"史上最悪の映画"を選ぶ試みを記録した本だそうで、
日本でも色々な方が"最悪映画"特集を出されているのをお見かけしますが、
いかにも映画の未来を憂いてるようでいてその実、執筆者達の鬱憤晴らしになり、
これでOK出していいのかなあ、むしろ"最悪本"を出してしまっているんじゃないかナア、
という本とは一線を画するような気がしますが、読んでみないと何ともいえない。
誰か翻訳をお願い致します。その際はどうかゲテモノ装丁にしないでください。

何しろこの本を読めば、いままでは最悪は「世界崩壊の序曲」だろうとか、
某大作を最悪と言う大衆の恣意的で無駄な情報で真実が見えなくなった世界に、
"真に究極の最悪映画"がわかるかもという希望の光(?)が指すかもしれない。
あくまでアダムス氏個人の調査に基づく、なのですが。

マイケル・アダムス氏は奇しくもオーストラリアで仕事をしているそうで、
そうなると、先日のオーストラリア映画大暴走の国にいる人なら、
"そういう作品"を見る目も確かなのかもしれないよ、と勝手な妄想を膨らます。

海の向こうにそんな尊敬すべき偉業を成し遂げた人がいるならば、
変な映画を観たい病にかかる映画ファンの一人である僕にとっては同志であります。


さて、VHS映画観賞シリーズは別にヒドイ映画を集中して観るではなく、
DVD・BD以降の波間に藻屑と消えていきそうな作品を引き上げるもの。
名もなき地上の星のような・・・・いやいや、地上の星は輝いていたのだから違うか。
埃を被っている作品の埃を払って、本当に埃を被るべきなのか観てみるとか。

しかしながら必然的にというか、ヒドイからDVD化されないんだろうなあ、
とかパッケージから明らかに思えるものを敢えてというか率先して選んでいます。

それでも、ヒドイならばヒドイなりの書き方というものがあり、
"そんなヒドイなら観てみたいぞ"と思わせるほどの興味津々になる文章、
褒めてないけど少なくともその「評」は面白いという文章を読みたい。
あるいはここをこうすれば名作ならずとも平均点以上は行ったろうになあと、
次に繋がるような文章ぐらい読みたいもので、ただこき下ろすだけでは、
ただ執筆者が相手を貶めて自分を慰める錯覚した行為に過ぎない。


なんていうことを書きながら、自分では語彙も知識も不足してますが、
ならばせめて持てるだけの映画への愛をあらん限り籠めていこうというつもり。

光あるところ闇あり。闇あるところ光あり。
愛あるならば全て呑みこむべし。

どこかのトミー・リー・ジョーンズ先生の仰るように

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