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ガイナックス製作TVアニメ「
天元突破グレンラガン[LINK]」の劇場版、
「
劇場版 天元突破グレンラガン/螺巌篇[LINK]」についてのこと。
昨年公開された「
劇場版 天元突破グレンラガン/紅蓮篇[LINK]」
の続編であり、劇場版の完結編となります。
基本的には紅蓮篇・螺巌篇ともにTVシリーズ全27話を
再編集したものなので、物語の大筋はTV版と代わりませんが、
脇のストーリーを削り再構成して印象を異なるものにしています。
TV版のケレンという言葉では足りないほどの勢いを
製作者自らが「緩・急」ではなく「急・急・急」と語るほど
さらに何倍にも増幅させ、正に天元突破となっており、
怒涛の勢いで楽しませてくれますが、不満がないわけではありません。
省略された「緩」にあたるもの、紅蓮篇でのそれも含めてとなりますが、
「グレンラガン」の魅力はそこでもあったし、
それがあったからこそ「急」に厚みができたとも言えます。
例えばTV版で好きだった感触であり近ごろ感じていなかったのが、
外の風景場面で風を受けるような開放された空気感です。
オープニングアニメで暗い地の底からラガンが岩盤突き破る。
地上の上空にシモン達が出たときの人物達の髪を頬を撫でる風。
野外キャンプで星空を見上げて途方も無い計画を語る夜。
その空気を胸にいっぱいに吸いながら、友と格闘し背中を預け、
束の間の安らぎを共に過ごしあう。
そのひとつひとつの営みを守りたいからこそ、
ありあまる血潮の滾りに燃えてどこまでも突き進む。
「幸せはいつだって失って初めて 幸せと気づく小さな不幸」
その小さな幸せが劇場版ではやや薄められてしまった感があります。
とはいえ、再構成は別の次元へと素晴らしき昇華へと至ります。
「紅蓮篇」では地上を支配する獣人達と螺旋王から
人間が地上での生活を勝ち取るための戦いを描きながら、
主人公・シモンがカミナ兄貴の背中を追いかけ、兄貴の死別、
兄貴があの日くれた言葉を胸に自分の人生に目覚めるまでを軸に描き、
「螺巌篇」では人間がやがて宇宙を滅ぼす存在と危険視して、
根絶するために宇宙から攻めて来るアンチ・スパイラルと戦い、
その物語の中で軸として、
出会ってから7年の歳月をかけて結婚の告白をしたその瞬間に、
敵に奪われたシモンの運命の女性・ニアを
救い出すためのシンプルかつ壮絶なまでに力強い、
銀河も超自然も次元も突破するラブストーリーとして再構成されました。
「惚れた女を救い出すためにふっかける宇宙一の大喧嘩なんだよ!」
というキタンの台詞にそれが全て集約されています。
「グレンラガン」のキーワードの一つに「ドリル」があり、
「ドリルは男の魂」がいつの時代から囁かれ始めたかは知りませんが、
ならば、惚れた女のために全身全霊をかけることもまた男の魂であろう。
アンチ・スパイラルのメッセンジャーと化し精神を乗っ取られたニアが、
「私を救い出せる可能性は限りなくゼロに近い」と言うのに対し、
「可能性がゼロじゃないなら、俺にとっては100%と同じだ!」
と語るシモンの台詞は、勝ち目の薄い戦いにあがき続ける者にとって、
希望と闘志に目覚めさせてくれる最高の名言です。
「
交響詩篇エウレカセブン[LINK]」ならば
「ねだるな、勝ち取れ、されば与えられん!」
あたりがその精神に近いでしょうか。
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